暗号資産(仮想通貨)取引を経験された方なら、MetaMask(メタマスク)というツールを一度は耳にしたことがあるでしょう。
MetaMaskは、イーサリアムに基づくトークンを保管するソフトウェアウォレットであり、分散型アプリケーション(DApps)やNFTゲームとの互換性に優れ、その多用途性が高く評価されています。
本記事では、MetaMaskの利用を検討している方や、使用中であるが詳しい使い方が不安な方に向けて、MetaMaskの主な機能と操作方法について解説します。
MetaMask(メタマスク)とは何か、どんな機能を持っているのか?
MetaMaskはウェブブラウザの拡張機能やスマートフォンアプリケーションとして使用できる暗号資産向けのソフトウェアウォレットであり、主にイーサリアム(ETH)やERC-20といったイーサリアム派生のトークンを安全に保管できるよう設計されています。
ウォレットは、オンラインウォレットやデスクトップウォレットなど、さまざまな種類が存在します。MetaMaskでは、PCにインストールして使うデスクトップウォレットと、スマートフォンにアプリをインストールして使用するモバイルウォレットの二つのオプションが提供されています。
また、MetaMaskを介して、イーサリアムブロックチェーンを利用したDAppsやブロックチェーンゲームと連携可能であり、これらのアプリケーションで発生する料金やゲームアイテムの購入費用も、MetaMaskを通じて支払うことができます。
スマートフォンおよびPCでのMetaMaskの利用方法
MetaMaskは、スマートフォンのアプリケーションとしても、PCではウェブブラウザのアドオンとしても使用できます。
2022年10月の情報によると、MetaMaskに対応している主要なブラウザは以下のとおりです。
- Google Chrome
- Firefox
- Brave
- Edge
- Opera
参照:https://metamask.io/download/
MetaMaskのセキュリティ機能
MetaMaskでは、秘密鍵を紙に記録してオフラインで保管することができ、これによりオンライン上のIDやパスワードを扱うウェブウォレットよりもセキュリティが向上します。
また、ユーザー自身が秘密鍵やアカウントデータを管理することで、管理者の不正やデータ漏洩のリスクから資産を守ることが可能です。
複数のブロックチェーンの集中管理
MetaMaskは、イーサリアムやERC-20、ERC-721トークンなどに完全に対応し、複数のウォレットアドレスを一括で管理することで、操作の効率を向上させています。
さまざまなDAppsとの連携
MetaMaskを使用することで、NFTマーケットプレイスやDeFiといった多様な分散型アプリケーションにアクセスすることが可能です。17,000を超えるアプリケーションが利用可能で、MetaMaskはこれらのDAppsを効果的に活用するために欠かせないツールです。
さらに、BNB Smart ChainやAvalanche、Polygonなど、イーサリアム以外のネットワークへの接続もサポートし、これらのプラットフォーム上でのDAppsやDeFiサービスの利用も可能です。
ガス料金の調整機能
イーサリアムやそのトークンの取引、スマートコントラクトの実行に必要なガス料金は、ネットワークの混雑状況に応じて変動しますが、必ずしもすべてのトランザクションで高速な処理が必要なわけではありません。そのため、ガス料金を調整しコストを抑えることができます。
しかし、トランザクションを迅速に完了させたい場合は、ガス料金を高めに設定することで早期の取引承認が可能になります。
トークン交換の可能性
MetaMaskを用いると、トークンの交揞が可能です。特定のDAppsで必要とされる特有のトークンを入手する際に有効です。
NFTの保管と管理
NFTは主にイーサリアムプラットフォームで発行されますが、MetaMaskはこれらのNFTを管理する用途にも適しています。NFTはただのトークンとしてではなく、その視覚的要素も含めて表示することができます。リンク:NFTアートやコレクションアイテムなども含まれます。
多くのNFTマーケットプレイスでは、NFTを預けたり引き出したりすることができます。これらの操作をMetaMaskを通じて行うことで、個人が直接NFTを保管することも可能です。
PayPalを介したイーサリアムの取引
引用:ConsenSys
2022年12月14日、MetaMaskを運営するConsenSysは、PayPalとの協業を公表しました。この提携により、MetaMaskユーザーは今後、PayPalアカウントを介してイーサリアムを購入したり、PayPalのデジタルウォレットからMetaMaskへイーサリアムを送金したりすることが可能となります。
この機能は最初にアメリカの特定のPayPalユーザーに提供され、数週間後には全米の対象ユーザーに拡大される予定です。しかし、日本を含む他の国々でのサービス提供については、現段階での計画は公表されていません。
PCでのインストールと初期設定の手順
MetaMaskをPCで使用するには、Webブラウザのアドオンとして、またスマートフォンではアプリケーションとしてインストールする必要があります。このセクションでは、Google Chromeでのアドオンとしてのインストールプロセスを解説します。
Google ChromeでMetaMaskをインストールする手順は、Chromeウェブストアにアクセスし、画面右上にある「Chromeに追加」ボタンをクリックすることから始まります。
次に、以下の画像に示されるようなポップアップが表示されたら、「拡張機能を追加」ボタンを押します。これでMetaMaskのインストール手続きは完了となります。
パスワード設定とログイン手順
MetaMaskのインストール完了後、ログインに使用するパスワードを設定します。最初に、ChromeのアドオンとしてインストールされたMetaMaskのアイコンをクリックして操作を開始してください。
表示される画面に「開始」ボタンがあるので、それをクリックします。
MetaMaskを初めて使用する場合は、「ウォレットの作成」ボタンを選択します。
「プライバシーポリシーはここにあります」というリンクをクリックすると、個人情報の取り扱いに関するポリシーが掲載されたページが開きます。内容を確認し、問題がないと判断したら、「同意します」ボタンを押してください。
次に、新しいパスワードを設定します(最少8文字必要)。このパスワードはログイン時に必要となるため、忘れないように注意深く記録しておくことが重要です。
パスワード入力後、「利用規約に同意します」にチェックを入れ、「作成」ボタンをクリックすると、パスワードの設定は完了です。
アカウント復旧用リカバリーフレーズの保管方法
次に、アカウントを再設定する際に不可欠な「リカバリーフレーズ」の保管手順を解説します。
初めに、リカバリーフレーズに関する説明動画を視聴します。動画の視聴が完了したら、「次へ」ボタンを押して進んでください。
画像内にある鍵のアイコンをクリックすると、12の英語の単語が表示され、これがあなたのアカウントのリカバリーフレーズとなります。
このリカバリーフレーズは、MetaMaskのアドオンが誤って削除された場合や、インストール先のPCに障害が生じた場合に、アカウントの復旧に必要です。そのため、非常に重要であり、印刷して安全な場所に保管するなどして、大切に扱うことが推奨されます。
リカバリーフレーズの記録が完了したら、「次へ」ボタンをクリックして進んでください。
記録したフレーズの単語を適切な順番にクリックして配置します。配置が終わったら、「確認」ボタンを押して進みます。
次の画面に移行したら、「すべて完了」ボタンを押して設定を完了します。これでMetaMaskの基本設定が終了します。
MetaMaskでの送金手順
ここでは、MetaMaskを使用して、取引所など他のアドレスに暗号資産を送る方法について説明します。
最初に、メイン画面から送金する資産を選択してください。
次に、「送金」ボタンを押します。
「送信先」フィールドには、受取人のアドレスを入力してください。
送りたい資産の種類、金額、そして取引手数料を選択後、「次へ」ボタンをクリックします。
最後に、送金詳細を確認し、間違いがなければ「確認」ボタンを押して送金を完了させます。
MetaMaskアカウントの復元手順
MetaMaskを使用しているPCが故障したり、MetaMaskのアドオンが誤って削除された場合、アカウントを復元する必要があります。
アカウント復元には、以前設定された12語の「リカバリーフレーズ」を使用します。初めに、新しいPCにMetaMaskをインストールし、ログイン画面へ進んでください。次に、「シークレットリカバリーフレーズを使用してインポートする」オプションを選択します。
表示される画面にリカバリーフレーズを入力し、「新しいパスワード」および「パスワードの確認」に新しいパスワードを入力します。
全ての情報を入力後、「復元」ボタンをクリックすることで、アカウントの復元が完了します。
MetaMask(メタマスク)でアカウントを追加する方法
MetaMaskでは、アカウントの復元に使用する「リカバリーフレーズ」とは別に、アカウントのインポートに必要な「秘密鍵(プライベートキー)」が存在します。これら二つはしばしば混同されますが、使用目的が異なるため、その違いを正確に理解しておくことが重要です。
- リカバリーフレーズ: アカウントの復元に使用
- 秘密鍵: アカウントのインポートに必要
MetaMaskを利用すると、一つのウォレットで複数のアカウントを管理することができます。つまり、複数のアカウントを同一のソフトウェア内で切り替えて使用することが可能です。
アカウントをMetaMaskに追加する際には、個々のアカウントに紐づけられた「秘密鍵」が必要となります。
次に、MetaMaskにアカウントを追加する手順を説明します。
秘密鍵の取得方法
アカウントの秘密鍵を取得するには、まずメイン画面の「︙」マークをクリックし(画像①)、次に「アカウント詳細」を選択します。
表示される画面で「秘密鍵のエクスポート」を選択します。
この時点で、アカウントを設定した際のパスワードの入力を求められます。パスワードを入力して「確認」ボタンをクリックすると、秘密鍵が表示されます。
表示された秘密鍵をクリックすると、コピーが可能です。これを安全に保管するためには、パスワード管理ソフトウェアを使用することが推奨されます。
秘密鍵を紛失すると、そのウォレットにアクセスすることができなくなりますし、ハッキングなどの被害に遭うと、保管していた資産が盗まれるリスクも高まります。秘密鍵の管理には特に注意が必要です。紛失や盗難を防ぐために、秘密鍵をオフラインで管理することも一つの手段です。
MetaMaskにアカウントを追加する方法
アカウントをMetaMaskに追加する際は、まず画面右上のアイコンをクリックし(画像①)、そこから「アカウントのインポート」を選択します。
次に、エクスポートした秘密鍵を入力欄に貼り付け、「インポート」ボタンをクリックします。これにより、アカウントの追加が完了します。
MetaMaskへの入金手順
このセクションでは、MetaMaskウォレットへの暗号資産の入金方法を紹介します。具体的には、イーサリアム(ETH)の入金プロセスについて説明します。
まず、MetaMaskのメイン画面でアカウント名が表示される部分にカーソルを合わせ、「クリップボードへコピー」というオプションをクリックしてください(画像①)。
これにより、MetaMaskのウォレットアドレスがクリップボードにコピーされます。次に、このアドレスに対して、取引所からイーサリアムを送金します。
送金操作後、しばらくするとMetaMaskウォレットにイーサリアムが入金され、入金された量が画像②のようにETHの残高に反映されます。これで入金操作は完了です。
MetaMaskにトークンを追加する方法
MetaMaskのデフォルト設定では、イーサリアムの残高のみが表示されます。ERC-20形式の他のトークンをウォレットに追加する場合は、手動で追加する必要があります。
ERCトークンの手動追加方法
トークンを追加するには、メイン画面下部にある「トークンを追加」ボタンをクリックしてください。
画面が切り替わり、検索バーに追加したいトークン名を入力します(画像①)。検索結果から対象のトークンを選択し(画像②)、次に「次へ」ボタンをクリックします。
「トークンを追加」ボタンをクリックすると、操作は完了です。
メイン画面に戻ると、イーサリアムの残高下に新しく追加されたトークンの残高が表示されます。
まとめ
MetaMaskのインストールから入金・送金、アカウントの復元方法について詳しく説明しました。MetaMaskはイーサリアムおよび関連トークンの管理、さらに分散型アプリケーションやブロックチェーンゲームとの連携に非常に適しています。
ただし、ウォレットのリカバリーフレーズや秘密鍵の管理は極めて重要です。これらを失うと、保管している暗号資産へのアクセスが不可能になるため、紛失や漏洩には十分注意してください。
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